コドク箱 1

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コドク箱 1

 その日は、背筋が伸びるような快晴だった。  空は朝から青々とした表情を見せ、ふわりとした滑らかさのある雲はそれに程よくアクセントをつけている。  あるで子供が描いたような青空、それを山野廻(やまのめぐる)は満足そうに見上げていた。 「表の掃除、終わったぞー」  黒いシャツの胸元をパタつかせながら、廻は店の中へと入る。  その視線の先では、彼の雇用主兼同居人の佐山義時(さやまよしとき)が棚にあった壺を磨いていた。
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