見つかった生き物のしょうさいはいったい?

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見つかった生き物のしょうさいはいったい?

 今どき発掘調査なんて意味ないんじゃない? よく周りからそう言われる。  夢を追いかけて独身男性。  恋には特に燃えることがなく、すでに開拓(かいたく)されている洞窟をひとりで研究しながら論文を書き続けていた。  人間は結構(けっこう)行動しているようで、自分が新しいものだと思った鉱物や鍾乳洞(しょうにゅうどう)はとっくに名称もついていて観光スポットにされている。  SNSによる承認欲求(しょうきんよっきゅう)と金稼ぎの影響で立ち入り禁止区域となった自分にとっては初めてだった洞窟たち。  ああ人間が許せない!  そして自分も先行者利益(せんこうしゃりえき)として最初に洞窟を見つけていれば・・・。  早く産まれすぎたのか遅く生まれすぎたのかは分からないが最悪の冒険ばかり続けて疲れていた。  テントをつくり、今日も昔みた冒険家のまねでコーヒーを飲む。  今はインターネットの発達でキャンプで水を濾過(ろか)するやり方もジュースを作る動画をすぐに観ることができ、自分なら実践(じっせん)もできる。  コーヒーといっても安価でどこでも売っているもので豆から焙煎(ばいせん)なんてサバイバルの時にしか使っていない。  休憩を終えたあと、すでに開拓されている洞窟の奥を頭では意味がないと分かりつつ探していく。  専門知識のないインフルエンサーよりは好奇心はすぐれていると思い込ませて奥へ奥へと許可を得て入っていく。  すると炎のようにゆらめく陽炎(かげろう)が冷たいはずの洞窟内(どうくつない)でおこっていた。  そこで人影(ひとかげ)のような何かを見つけ、あれが(とびら)だと仮定(かてい)する。  この洞窟が立ち入り禁止区域なのは人間のいたずらだと思っていたが。  自分は人影(ひとかげ)に見つからないように移動してまるでゲームで見た黒と青の扉のもとへ行き、落ちているナイフをひろった。 「これはどこの国にも流通していない未知の鉱物? いや、調べないと」  直感が正しいとは限らない。  それでもここに証拠があるじゃないか。  未知の世界の存在があることを。
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