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ホログラムはやめてくれ
”ほしふるよるに“
節家莉亜は昼寝をしていても何度も夢にでる謎の言葉にロマンを感じるよりも恐怖を感じていた。
イラストレーター志望なんて古くさいかなと思いつつも莉亜は莉亜で将来のことを考えていた。
女子高生として周りを見ていると嫉妬はしないものの入れ替わってほしい一面ばかり目につく。耳にする。
高校二年生にもなれば退屈な未来と分かっていても大学進学を目指さざるを得ないし、将来はイラストレーター志望から成り上がって演技の練習もしようかと考えることもある。
でも私が考えていることも他の人からみれば充実した暮らしなのは知っている。
中卒だったり、ハンデをかかえた友人や他の家族に先立たれたり介護生活を送る歳上の主婦がバイト先で友達になってくださったり、様々な世代と会う機会がふえたからだ。
SNSではうわさのエコーチェンバーを作ってはいるもののアカウント管理がめんどうに感じるくらいに莉亜はZ世代とはあまり思われない暮らしをしていた。
「幸せハラスメント」について学校やバイト先、SNSで最近話題になっていて
『ああ、ディストピアだなあ』と他人事のように感じる悪い部分と『なんとかしないと』と考えられる良い部分がいつもせめぎあっている。
自分はどうしたいんだろう。
イラストレーターになってもなれなくてもだなんて後ろ向きなことは考えず、イラストを描ける方向性を少し変えて正社員になるかもしれないしパートナーを見つけるかもしれないし、可能性は決めつけないようにしている。
それでも志望する大学か専門学校は小学生からねらっていたので勉強はしやすかった。
莉亜は自分のイラストがそこまで上手くないと言われても大切にしたいものだから練習も欠かせない。
あとは恋人がほしい。
特に好みのタイプはいないし求めないけど、幸せとも不幸ともちがう恋を続けていけば変わるきっかけが見つかるかもしれないと世間と社会におりあいをつける癖は忘れていない。
”ほしふるよるに“
この言葉の意味がすることは分からない。
いきていて見つけるほどの重要性は感じていないけど、天体観測の趣味でも見つけて生きていくか。
いっそのこと。
高校生の三年間は長い。
人によっては四年間もある。
でも義務教育とはちがって愛おしい大学準備前なのだ。
二つ上の先輩が様々な夢をかかえながら背中で語って教えてくれた。
また会ってみたいな。
卒業前にイラストをプレゼントした先輩の将来が気になるから。
その前に幸せハラスメントの話題について莉亜は保留にしながら長期休暇に出かける場所をチェックしていた。
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