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ほんの一瞬だけ迷ったけど、素直に話した。
「今度の土曜日、唯くんの誕生日で。
プレゼント、探しに行こうと思ってるの」
「へーーー……」
含みを感じる数秒の沈黙の後、
「それやめて、俺とデートしよ」
突拍子のないのんの言葉に、唯くんの時とは違う「はあああ?」という可愛げのない声が口から思わず漏れた。
「きぃがこれから駅周辺のショップしらみ潰しに見ても、なんの収穫もないよ。
それって時間の無駄じゃね?」
随分と失礼なことを言いながら肩に寄り掛かって頭を乗せてくるから、それを頭で押し返した。
「なにそれ。見なきゃわかんないじゃない」
「わかるよ。だって何あげんの?
服?アクセサリー?唯くん随分拘りありそうだけど。全部某ブランドで統一されてんの気付いてる?」
「え、、そうなの?」
たしかに、オシャレだなあとは思っていたけど。
服も、だし、ピアスや指輪なんかも。
「きぃの小遣いじゃ買えねえようなやつ。
唯くん、YouTuberで稼いでるからね」
「嘘おお、、どうしよう…!」
「デートするかわりに、俺がいいこと教えてあげよっか」
のんの不敵な笑みに気付きながらも、今はそれに縋るしかなかった。
「うん、教えて!」
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