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そんな話をしているうちにバスは駅前に着いて、まずは映画、とシアターのある商業ビルに向かう。
のんがくっついて来て腰を引き寄せてくるから、「ちょっとやめてよ、」と離そうとするも、「だってこれデートだろ」と笑いながらちっとも離してくれない。
「いーーじゃん、禁止されてんのキスだけだろ」
そう言われてしまうと何も言えなくて。
けれど結局のんのするままさせておくと、映画の間はずっと手を握ってるし、私が買ったポップコーンも「ひと口ちょーだい」と、私の手で掴ませてそれを自分の口に運ぶ。その都度のんの唇が無駄に色気を含んで触れる。
それで「だって直接掴んで手え汚れんの、やだし」と勝手なことを言う。
しかも「絶対これが見たい」とのんが選んだアクションものなのに、途中で眠っちゃうってどういうこと?
しかも、私の首筋に顔を埋めて寝ちゃうから、唇は当たってるし、息もかかって擽ったいんですけど!
「のーーん?」
時々小突いて起こせば、「んーー」とぼんやり起きて、「あの俳優がさ、」と耳元で甘く囁くように話しかけてくる。
それがどうにも落ち着かなくて、結局後はそのまま寝かせて、寄り掛かってくるその重みに耐え続けた。
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