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「映画、おもしろかったよ。ちゃんと見なくて良かったの?」
終わった後に聞けば、「きぃとゆっくりくっつくのが目的だったから、内容はべつに」と、しれっと返される。
「あのさあ、やっぱりのんて私のこと…」
「うん」
つい口に出してみたけれど、のんにじっと見つめられ、結局「なんでも、ない」と引き下がってしまった。
「そう?聞きたいことあったら、いつでも遠慮なく聞いて」
私が直前で怖気付いて何も言えなくなることも、改めて聞くことも出来ないヘタレなのを、のんはわかっててそう言ってくるんだよね。
本当に狡い。
でもいいよ、あと一カ月ではっきりさせるからね。
「ほら、次いこ」
そう言って、のんに差し出されたその手を、今は迷うことなく手に取った。
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