Yui’s birthday

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抱き締めていた腕から解放されて、至近距離でお互いの顔を見つめ合う。 部屋の中がシン、としているから、なんだか余計に自分の心臓が煩く感じた。 瞼を伏せ、また唯くんの顔が近付いてくる……と思ったところで、ぴた、と止まる。 「───まだ時間たっぷりあるもんな。あんま最初からがっつくと、きぃに嫌われるからやめとこ」 長い前髪を掻き上げながら、薄い笑みと共に色気を残し離れる。 その色気にあてられ、ほわほわとぼんやり思考を彷徨わせていると 「俺にやられてるきぃに俺がやられてるっていうね」 困ったように苦笑いされる。 それにまた私がやられてるんだよ、唯くん。 その雰囲気を振り払うかのように、 「このコントローラー、試してみていい?」 子供のように目をキラキラさせてくる。 「うん、もちろん」 頷くと、それは嬉しそうにゲームのセッティングを始めた。 そこでようやく私は程良く冷めたコーヒーをいただく。
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