Yui’s birthday

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「そうだ、もうそろそろご飯作るね」 テレビと同じローボードに置かれたLEDデジタル電波時計が、既に18時を過ぎた数字を表示している。 「キッチン借ります!多分1時間近くかかるから、唯くんその間ゲームしてていいよ」 「あーもうそんな時間か」 唯くんが気を取り直したように、ゆっくり立ち上がった。 「きぃの料理、すげえ楽しみなんだけど」 「うう、、唯くん、なんかお料理上手みたいだから。ちょっと緊張するけど頑張るね」 そう言うと、え?と不思議そうに首を傾げる。 「俺、料理全く出来ないけど」 「え、でも調味料とか、本格的に揃ってるし」 まさか。 「ああ、、それ空河な。あいつオーガニックレストランの厨房で働いてるからさ。うちでも時々料理してくれてんの。俺自身は全く料理出来ないよ」 「そうなの?」 それは意外。なんでも器用にやっちゃいそうなイメージだから。 出来ないというよりは、やらないだけなんだろうな。 ごめんなさい、、一瞬女の影を疑ってしまいました。 キッチンとリビングは対面式に繋がっているから、料理をしながら唯くんが寛いだり、ゲームをしたりする様子が覗える。 会話をしながらこうやってお料理出来るのはやっぱりいいな。
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