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そのまま既読をつけずに料理を続けていたら
『おい、きぃ』
更にメッセージが続けて受信される。
なんか……うちお父さんいないけど、いたらこんな感じなんだろうか。
それもまた放置していたら、続けてピコン、ピコン、と通知音が鳴った。
見なくてもわかる。
気付いてんだろ、さっさと既読つけろ、返信よこせ、といったところだろう。
続けざまの通知音に、さすがに唯くんも気になったようで。
「もしかして、のん?」
インカムを一時オフにしてキッチンの方にやって来た。
「うん、、なんか唯くんたちの配信、リアタイで視聴してるっぽい」
「へえ」
面白そうに、形の良い唇が悪戯っぽく口角を上げる。
そして、今ちょうど作っているお吸い物に目をやった。
「きぃ、それ味見させて」
「あ、うん、どうぞ」
小皿にひと口、おたまで掬い手渡す。
小皿の端に口をつけ啜った後「うん、うまい。ちょうどいい塩加減」と言ってもらえて、ほっと一安心。
「きぃも味見して?」
「いや、私はまだちょっと」
猫舌だからね?少し、冷まさないとね?
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