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「えっと、、」
帰るよ、とは言えない。帰るつもりはないから。
帰らないよ、と言ったら?
なんて言われるんだろうか。
そこどこだよ、今から迎えに行くから住所言え、とか?
「か、帰らないよ」
意を決して言ってみた。
「そこどこだよ。今から迎えに行くから住所言え」
……なんでこういう悪いことは予想通りになるんだろう。
気付くと、唯くんがじっとこっちを見てる。
bakuさんとゲーム終わったのかな?
それともまた放置かな?
さっきまでの楽しげな余裕が身を潜め、少し不安げな色が瞳を揺らしている。
唯くん…
「私、帰らないから」
唯くんの顔を見つめながら、通話口ののんに告げた。
唯くんの目が、驚きに見開く。
「…まだお試しだけど、私は唯くんと付き合ってるから。彼氏の誕生日だもん、彼氏と過ごすのが当たり前だもん。
だ、だから、、泊まってくし!朝帰りだから!もう、、掛けて来ても出ないから!」
のんの反応を待たずに、通話を切った。
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