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それなのに「のんが、きぃの才能に嫉妬するって言ってたの、今ならわかる。
この半日で、きぃの才能まざまざと見せつけられてるよ。ラッピングのアレンジメントといい、この料理といい。
嫉妬はさすがにしねえけど」
そうやって私を舞い上がらせるようなことをさらっと言ってくれちゃう。
唯くんの方が全然すごいのに。
「きぃと付き合ってたら、芸術的感覚が磨かれそう」
なに言ってるの!唯くんはもう既に芸術的センスの塊だよ?
「……あのさ、きぃ。今自分がどんな顔してるかわかってる?」
首を傾げ、機嫌の良い笑みを浮かべる唯くん。
「え、…あ、」
もしかして、きっと。
「唯くんが、大好きでたまらないって顔?」
途端、アハハと全開に笑われた。
「きぃ、可愛い過ぎ」
突然のその笑顔に見惚れて固まっているところ、スッと唯くんの手が伸びてきて。
「ゴハン粒、つけてる。2箇所も」
それをぴっ、ぴっと指で取り、自分の口に入れ、ぺろっと親指の腹を舐めながらニヤ、と私を見つめる。
顔、ってそういうことだったの!?
とてつもない羞恥心と、そこからの唯くんの色気を含んだ所作に、ぼぼぼぼぼ、と顔の温度が一気に上昇した。
「今の俺、のんに圧倒的勝利じゃね?」
更に機嫌良く、ノンアルシャンパンを飲み干す唯くん。
私は私で、暑さと恥ずかしさにグラスの残りをぐいっと一気飲みした。
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