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「───っ痛、!」
首筋に走った、ちくっとした痛みに目が覚めた。
そこに顔を埋めている、のん。
「なに、してるの?」
「んーー、2つをいっこにまとめたとこ」
「え、?」
「ヘンな痕、付いてたから。2つあんのおかしーなあって。繋げていっこにしたんだけど悪りい、失敗したわ」
「はあ?」
「すげえ目立つ。しかも消えるまでだいぶかかりそ」
「っ、」
2つの痕を繋げるように上書きで痕を付けたということだよね。
そんなの、する前から目立つってわかってるのに。
はあ、、鏡で見るのがこわい。
しばらくタートルネックかスカーフで誤魔化すしかないな。
壁掛け時計を確認すると、午後2時を過ぎたところだった。
4時間くらいは寝てたのか。
どうりで、頭がすっきりしている。
けれどのんは、私に抱きついたままベッドから降りようとしない。
「まだ、寝るの?」
「んーーもうちょっと」
気怠げな感じで、二度寝に入りそうな雰囲気だ。
機嫌悪かったの、寝不足も原因なんじゃない?
ここでしっかり睡眠取ってもらえば、機嫌も上向くかな。
のんのふわっとした髪の毛を撫でると、小さく笑う声が肩を擽る。
こんなんで機嫌直してくれるなら、いくらだって撫でちゃうよ。
髪を撫でるたびに擦り寄ってくるのんは、だいぶ甘えモードだ。
のんの髪を触りながら、恐らく私が今度は先に寝落ちしたようだった。
やっぱりのんの体温と感触は、しっくりときて心地が良い。
困ったことに、いくらでも眠れちゃう。
そうやってその日は一日、のんとぐだぐだ過ごしたのだった。
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