competition

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亜子達と別れ、次の講義に行く前に構内のコンビニでお菓子でも買ってこうかな?と廊下を歩いていると 「おーーい倉科、ちょっといいか」 陶芸の、萬田教授に呼び止められた。 「え、なんかさっきの問題ありました?」 「いいからちょっと、俺の部屋来い」 教授室に呼ばれてしまう。嫌な予感しかない。 「コンペの作品のことだけどな」 まるで病院の診察を受けるかのように、椅子に座り向き合う。 「はい……ハートを使ったのは安易でしたかね」 先にダメ出しされそうなところを自己申告してしまおう。 私が作成したのは、ペアのカフェオレボウル。 収納する時にコンパクトに重ねられるよう、男性用はほんのひと回りだけ大きめに。 外側から見ると丸みを帯びたマグカップ寄りのボウルだけど、内側は滑らかな曲線のハート型。カフェオレが注がれれば、亜麻色のハートが浮かび上がる。 だからそれを受けるソーサーも、真ん中は薄くハート型になっていて。 ソーサーとしても、別皿としてお菓子を置く小皿としても使える感じに造った。 そして、男の子と女の子のお人形もくっつけた。 膝を抱えるように座った形はマグカップとして使用したい時の取り外し可能な持ち手にもなっている。 収納時などにカップの中に入れておけば、まるで遊園地のコーヒーカップの中で寄り添い楽しむ恋人同士になる。
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