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「もっと、」
おねだりするようにまた口を開けると、「ん、」と短い返事と共に放り込まれるスプーン。
それを何度か繰り返し、「はい、おしまい。」の言葉で、むにゃむにゃと深い眠りに入ろうとした。
「こら、歯磨きは」
「ん、、」
「……ったく、」
仕方なさそうな舌打ちが聞こえて「よいしょ、」と私の体を抱き抱え、立ち上がる。
ああ、ベッドに連れて行ってくれるんだと思い、のんの部屋まで歩く間の心地良い振動に、少しずつ意識を手放していった。
ベッドにどさり、と降ろされたことに安心し、そこで完全に眠りに堕ちる。
「きぃ?」
のんの掠れた声に、もちろん応じることは出来ない。
その後あれだけ禁止だと言った、キスをされたこともわからない。
「ただの幼なじみがこんなことするわけねえだろ」
その呟きも、その後また幾度となく重ねられた唇の感触も、私の記憶には全く残っていなかった。
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