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幼なじみ
眠い、眠い、───ネムイ。
スマホのアラームを三度目のスヌーズで何とか止め、重い瞼はそのままに、視界を確保出来る分だけ薄っすらと目を開く。
のそっとベッドから起き上がろうとしたところを、布団の中から伸びて来た腕に抱き寄せられ、またしてもその中に囚われてしまった。
「きぃ、、午前中サボろ」
寝起きで掠れた甘めの声で、寝不足の原因の男が寝惚け眼のままそう誘惑してくるけれど、今の私は靡かない。
「だめ。今日一限、唯くんと一緒だから」
「そっか。んじゃ、がんばって。
俺昼から行くから、メシ一緒に学食で食お」
「無理。唯くん誘う予定だから」
「そっか。んじゃ、断られたら一緒に食お」
寝惚けたまま、ちぅっ、と私の首筋にキスを落とす。
表面は乾き中は潤いを含んだその形の良い唇をくっつけたまま、すぅ、、と再び眠りに入ろうとするその男の顔を引き剥がした。
「のん、キスはもう禁止って言ったはずだけど?」
「ん、キス禁止って、マウスツーマウスだけじゃないの?」
「キス全般ダメ。普通、恋人でもないのにそういうことしないでしょ」
「俺ときぃは普通じゃないからなあ。よくわかんない」
まだ寝惚けながら、のんが呟く。
「だから、その普通じゃないのを卒業して普通になろうって言ってるんじゃない」
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