僕を飼ってくれませんか?

3/16
前へ
/32ページ
次へ
「それでは……カンパーイ!」    笑顔いっぱいの仲間たちが、グラスを軽く合わせる。ああ、なんて素晴らしい瞬間なんだろう。   「上條リーダー、本当にお疲れ様でした!」 「彩女さん、かっこいいです!」 「一生ついて行きます!」  打ち上げの席だから、全員テンションが高め。だけど私も、とても気分がよかった。  2時間ほどみんなで食事とお酒を楽しんだあとは、二次会のダーツバーへ。  こうして気兼ねなくコミュニケーションが取れるようになるまでには苦労もしたけれど、そんなことはどこかへ吹き飛んでしまった。 「また上條さんの下で、仕事がしたいです」  こんなに嬉しいことを言われたら、もう病みつきになってしまう。  仕事のやりがいはたくさんあるけれど、多くの人と信頼関係を築けることが、一番の醍醐味かもしれない。  こうして二次会も大いに盛り上がり、終電ギリギリに解散。  私は自宅の最寄り駅で降りると、まっすぐ帰宅せずに、自宅マンションに続く道から1本外れた路地へ入った。    向かったのは、お気に入りのバー。イタリア語で「神秘」を意味する「MISTERO(ミステロ)」という名前のそのお店は、仕事で昂った気持ちを鎮めるのにピッタリの場所だった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加