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 アレクは日本人の記憶を持つ転生者である。しがない会社員としてあくせく働いていたが、過労死してしまったらしい。あやふやなのは、どうしてアレクが転生することになったのか、その辺りの記憶がないからだ。 なんやかんや転生したアレクは、前世の苦労が報われたのかなかなか良い身分で生まれてくることができた。衛生状態もよく、教育水準も高い。乳兄弟の王太子はアホな子だが、処刑まっしぐらの傲慢バカ王族などではない。これならば自分の新しい人生は安心だ。そう思ってせっせと労働に励んでいたところ、この仕打ちである。 「こんなわけのわからないイベントを開きたいだと? その昔、各種童話の読み聞かせをやった弊害か?」  アレクはこめかみをぐりぐりと押す。友人の欲しいものをリサーチしただけなのに、どうしてこんなことになってしまったのか。健全な男子だ。出会いが欲しいというのはわかる。だがしかし、おっぱいか……。  閨の練習の手配などは必要ないとつっぱねられていたが、その指示に唯々諾々と従った結果がむっつりスケベであるという事実にアレクは頭を抱えるしかなかった。
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