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私と湯葉の腐れ縁は小学三年生のときに同じクラスになったことから始まり、今年で六年目である。
小学生の頃から、すでに湯葉の活動家的活動は始まっていた。
私たち女子が一部男子のスカートめくりに短パン着用で応戦しているとき、湯葉は無駄に流れていく水道水に心を痛めて地球の未来に思いを馳せ、「手洗いのあとの蛇口はしっかり閉めよう!水を大切にしよう!」というポスターを書いて先生に提出していた。頼まれたわけでもないのに。
そして高学年になると、学級会である提案をした。
『好物をニックネームにする』という案だった。
これは本名をもじって嫌な言い方をしたり、体の特徴をからかったりするあだ名を防ぐための策──高学年ともなればさすがにそのようなからかいは減るだろうと思いきや、まるで進歩のない連中に業を煮やした湯葉の打開策だった。
先生は湯葉の提案をユニークだと受け止め、みんなも賛成した。
親にもらった名前をなんだと思っているんだという反論もあったが、自分の名前が好きな子ばかりではなかったから、賛成の挙手が多数上がった。
カルビ、苺、うすしお、カカオ百パーセント、エビフライ、シャインマスカット、コンソメ。
自分の呼んでもらいたい名で呼んでもらうことのできるフードネームは、クラス内だけでなく学年全体へ、そして下の学年にまで広がった。
私はフードネームに関心を持たない少数派の一人だったのに、湯葉が勝手に「辛」と名付けた。
当時の私はタバスコの味を覚えてしまったばかりで、給食の味が物足りなくなりこっそりタバスコの小瓶を持ち込んではパンに塗ったりソフト麺にかけたりしていたのを先生に見つかって没収されて説教されて親に電話された。
その偏執的なエピソードに由来する不本意なあだ名は、中学生になっても使い続けている。
すっかり馴染んでしまったし、呼び名を改めるきっかけが掴めないし、特に不都合も感じなかった。
湯葉は依然として湯葉が好物であり、私は辛いものが好きだ。
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