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こと切れても誰にも見つけてもらえず、ずっと一人きりであんなところで。そんな逝き方――
桔梗はもう一度、美鷺とのLINEを開いた。やはり既読はついていない。
「早く返事しなさい!」
「早く返事しなさい!」
「早く返事しなさい!」
新たに何度も打った。でも、やはり既読はつかない。落ちていたスマホは廃棄したから。
――違う。あれは美鷺じゃない。既読がつかないなんていつものこと。会社に来ないなんてよくあること。
でも、桔梗自身が鑑定した。何より足首の添え木にしてあったのは、見慣れた――美鷺以外が持つはずのない、縦笛に偽装された吹き矢だった。
「了解でーす」
「うんわかった♡」
「はーい」
そんな可愛い系スタンプが返ってきた頃までLINEを遡るにつれ、内臓に鉛が流れ込むような感覚に陥った。
この気持ちは何だろう。
感情排除は得意だ。――でも、呼吸が辛い。胸が押し込まれるように圧される。何か言おうとすると喉が詰まる。流れ込んだ鉛が内臓をギシギシと固めていくようだった。
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