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蓮が抜け、代理はもちろんなく、チームは美鷺と桔梗の2人になった。
今回は、飲酒運転で轢き殺された子供の親からの依頼だった。そいつは猟銃免許を持っていて、しょっちゅう猟へ、いまだ車を使って出かけるという。
猟を終えた帰りの乗車時を狙う。そのまま車ごと海に沈める。そういう手はずにした。
静かな山間、音を立てずに挟むようにターゲットに近寄るはずが――そこで美鷺のスマホが鳴った。サイレント設定は基本中の基本なのに、と桔梗が舌打ちし「アラームが」と美鷺が慌てた隙に、そいつが銃を向けてきた。
そのタイミングで、桔梗のポニーテールを結んだゴムが切れた。髪がしだれ落ち、視界が遮られて一瞬動けなかったそのとき、銃声が響いた。正面から銃撃を受けたのだ。終わった、と思った。
が、銃弾は空中で止まった。シャボン玉が桔梗の前を遮っていた。銃弾はそこに吸い込まれ、割れることなくふわふわと飛んで行った。
それは、美鷺が吹き矢で放ったものだった。愛用の、一見縦笛に偽装した吹き矢。毒矢の他こんな機能付きに改良……?
そういえば里にいた子供の頃、シャボン玉を飛ばし続けたことがある。肺活量の訓練だった。珍しく美鷺が飽きずにずっと飛ばしていたっけ。
ターゲットが驚いてひるんだ隙に、桔梗は立て続けにナイフを投じ、3本あばらの間に食い込ませたところで相手は果てた。ホッとして目をやると、シャボン玉はまだ消えず、銃弾を含んだまま星空に上がっていった。
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