割れないシャボン玉

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「えへへ。ずっと研究してたんだ。割れないシャボン玉」  美鷺が笑った。 「笑うな。感情禁止だよ」  言いながら、桔梗は自分こそ感情を押し殺した。  こんな、他の誰もができないような武器を作った……美鷺はある意味天才なのだろう。  思い出す。美鷺は絵を描いても上手かった。歌えば絶対音感があった。耳も、誰より早く遠くの音を聴き取った。  桔梗の絵はほぼ落書き、歌えば音痴、聴力は凡人並み。そういう天性は鍛えてどうなるものでもない。  武器なら努力で、銃でも手裏剣でも鎖鎌やクナイもそれなりにこなせるようになったが、結局は平凡な投げナイフを使っている。特にどれも飛び抜けないのでそうなった。    美鷺に助けられたことが悔しかった。  なぜそんなすごい武器を生み出す才能があるくせにやるべきことをやらない? 優れたあれこれを持っているのにどうしてそれを磨かない? 同い年のくせになぜずっと妹分に甘んじている?  それら全てを頭を振って追い出した。感情排除は慣れている。ルールだから。ルールと言われれば何だってこなせる。それが桔梗の、唯一の取り柄だから。
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