先生、最高っ!

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「あっ、イプ先生また新しいの出してる! 即買いだ!」  カッコいい表紙にうっとりして、いつも通り本を買った。  ――まさか、中身が小説なんて知らずに。  開いてびっくりして、今さら購入画面のキャプションを読んでみる。 “初めて小説を書いてみました!下手ですが愛はたくさん込めたので読んでもらえると嬉しいです!”  どうやら、いつもの癖で漫画だと思い込んでしまったらしい。確認せずに買ったのが悪かった。  いや、だって先生の作品って全部面白いんだもん!  そんな先生の書いた小説である。気にはなるけれど、暗い気持ちが読むのを邪魔した。 「……読んでみたいけど、嫌な気持ちになるのは怖いな……」  呟きながら、表紙を捲っては閉じる。  一回は別のことをしてみたり、先生の漫画に走ってみたけれど、小説が頭から離れることはなかった。 「まぁ、買っちゃったし読んでみるか……」  なんて諦めて、恐る恐るページを捲る。そのまま、ゆっくり二行くらい読んでみる。  ぜ、全然上手くない……!  衝撃的だった。確かに、初めてだと書いてあったけれど、驚くほど上手くない。  正直、私より下手な文章は、小説と読んでいいか分からなくなるほどだった。  なのに、手が止まらなかった。
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