38人が本棚に入れています
本棚に追加
──Side 蒼
「何してんの?蒼」
煙草臭い奴らに囲まれて、橋の下で適当に集まっている時、スマホを見ていた。
話しかけてきたのは酔っ払いの名前は知らない女。
そんなことよりも俺の頭の中はずっと1つのことで頭がいっぱいだった。
今日体育館で会った、儚いという言葉が似合いそうなセンパイ。
一目見た時に俺と一緒だと思った。
孤独な人。
体育館裏で喧嘩売ってきた上級生をボコしてたら、震える声で喧嘩はダメです。なんて注意してきた晴ちゃん。
生徒会長の威厳なんてある訳もなくて、何でむしろ生徒会長やってんの?って言いたくなるくらい目立つのが嫌いなタイプ。
分からないことが多すぎて興味が湧いた。
俺のこの見た目のせいでアホみたいな女は寄ってくるし、遊ぶ相手も喧嘩する相手も困った事ない。
今もベタベタと触れてくる年上のオネーサンが俺のスマホを覗き込んでくる。
「蒼、友達出来たの?」
「…友達?」
友達と呼ぶには違う。
先輩と後輩なんて綺麗な関係性でもない。
「この晴って、友達じゃないの?」
「友達じゃないよ、今日会ったばっかだし」
全然腑に落ちない。
友達というほど晴ちゃんの事も知らないし。
「女の子?彼女だったりする?そうなったらお姉さん寂しいぞ!」
なんて言いながらキスをしようとしてくるのを、俺は手のひらで塞ぐ。
「酒臭い、彼女なんかじゃないし。それよりももっと…」
そうだ、晴ちゃんは特別。
出会って一日目とか関係なくそう直感していた。
最初のコメントを投稿しよう!