Episode1

4/26
前へ
/195ページ
次へ
──Side 蒼 「何してんの?蒼」 煙草臭い奴らに囲まれて、橋の下で適当に集まっている時、スマホを見ていた。 話しかけてきたのは酔っ払いの名前は知らない女。 そんなことよりも俺の頭の中はずっと1つのことで頭がいっぱいだった。 今日体育館で会った、儚いという言葉が似合いそうなセンパイ。 一目見た時に俺と一緒だと思った。 孤独な人。 体育館裏で喧嘩売ってきた上級生をボコしてたら、震える声で喧嘩はダメです。なんて注意してきた晴ちゃん。 生徒会長の威厳なんてある訳もなくて、何でむしろ生徒会長やってんの?って言いたくなるくらい目立つのが嫌いなタイプ。 分からないことが多すぎて興味が湧いた。 俺のこの見た目のせいでアホみたいな女は寄ってくるし、遊ぶ相手も喧嘩する相手も困った事ない。 今もベタベタと触れてくる年上のオネーサンが俺のスマホを覗き込んでくる。 「蒼、友達出来たの?」 「…友達?」 友達と呼ぶには違う。 先輩と後輩なんて綺麗な関係性でもない。 「この晴って、友達じゃないの?」 「友達じゃないよ、今日会ったばっかだし」 全然腑に落ちない。 友達というほど晴ちゃんの事も知らないし。 「女の子?彼女だったりする?そうなったらお姉さん寂しいぞ!」 なんて言いながらキスをしようとしてくるのを、俺は手のひらで塞ぐ。 「酒臭い、彼女なんかじゃないし。それよりももっと…」 そうだ、晴ちゃんは特別。 出会って一日目とか関係なくそう直感していた。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加