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昼休みになって、約束通り裏庭に行くと蒼くんは桜の木の下のベンチに座って桜を眺めていた。
そんな顔が何だかすごく儚いという言葉が似合う表情でとても綺麗だった。
思わず目を奪われる。
蒼くんがふとこちらを見て気付くと、手をひらひらと振っている。
手を振り返して近付いて「おまたせしました」と声を掛ける。
「晴ちゃん、朝も思ったけど桜似合うよね」
隣に座る私に突然何の話なのか、蒼くんがそう声を掛けてくる。
「そう…ですか…?」
そんな事初めて言われた。
「うん、桜が散ってるところとか歩くの見てるとすごく綺麗と思う。」
綺麗だ、と素直に言ってくる蒼くんに思わず少し照れてしまう。
他の男の子と話さないから分からないけど、こんなに素直に綺麗だとか言ってくれる人いるのか。
クラスの男女はからかいあったりとかするのは見てるけど、こんなまっすぐ素直な子も中々珍しいと思う。
…多分。
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