Prologue

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「覚えてる、男みたいな名前って思った」 「全国の“はる”って名前の女性に失礼では」 目の前の15センチほど身長が高い彼の顔を見つめる。 近くで見ればますます綺麗な顔してる。 そして、やっぱり殴られてたのか口の端が切れてる。 「…うわ、痛そう。」 傷は痛そうなのにその男子はなんとも無いような涼しい顔をしている。 「何が?唇見てきて、キスしたいの?」 顔を近づけてそんなことを言ってくる彼に少し驚いて、思わず唇を手のひらで守る。 「違います、じっとしてください」 そう言うと、ポケットから小さなポーチを出して絆創膏を取り出す。 自分がよく手をけがしたりするから持ち歩くようにしてるんだけど、持ち歩いていて良かった。 少しだけセパレーターを剥がして彼の怪我してる部分にくっつけて、完全に剥がし切りテープを貼る。 子供のような顔をしてこっちを見てくる彼。 「あまり怪我しないでくださいね、残ると大変ですし」 それだけ言うと、次は殴られてた同級生の元へ向かう。 「大丈夫ですか」と声を掛けると、意識はあるようで私の言葉に頷く。 すぐにそのまま立ち去られたので事情も聞けなかった。 とにかく無事に動けるみたいで少し安心。 「晴ちゃん、優しいね」 すぐ後ろから聞こえた声に少しだけ驚いて肩が揺れる。
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