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「とにかく、喧嘩は無しにしてください。」
そう言ってその場から去ろうとした。
「じゃあ悪い事しないように晴ちゃん見ててよ。俺の事」
「は?」
予想外の言葉に背を向けて歩き出し始めていた足を止めて彼の方を見る。
「何言って…」
「俺、1-A 椎名 蒼。蒼って呼んで。」
「あ、お…くん。」
彼の言葉に続くように、彼の名前を呼んだ。
すると嬉しそうに笑って
「なぁに、晴ちゃん」
なんて返事をする。
彼は危険だ。
私の脳内信号がはっきり赤色に光っているのに、向こう側に渡ろうとしている。
普段ならしない、こんな危険なこと。
それでも危険な彼においでと言われるように手招きされるのを拒否することはできなかった。
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