僕の小さな恋人

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今日は、結婚式だった。 僕が、一日として忘れることのなかった 可愛い子が、結婚式を挙げたのだ。 西条瑠璃と云う、その子は二十七才。 花婿を見て、僕は驚いた。 僕の若い頃に、そっくりだからだ。 「 あらぁ。健ちゃんの若い時に、そっくりね。素敵な人ね 」 妻の百合子が言った。 その通りだった。 僕は、瑠璃と云う可愛い子に、しかも 四才の子どもに、恋をしたのだ。 それは、可笑しいだろうか? もちろん、変な思いは全くない。 瑠璃と云う子どもの、純粋で、優しい心に、恋をしたのだ。 花婿は、高岡健一君。東大の法学部にいる時に、司法試験に受かった秀才だ。 結婚式は、教会で挙げた。瑠璃ちゃんも 健一君も、この教会で洗礼を受けたと、結婚式の前に届いた手紙に、書いてあった。 結婚式の後に、二人で挨拶をしている。 僕たちが、挨拶すると 「 健司お兄ちゃん!」 と、涙を流した。瑠璃ちゃんは、眩しいほど、愛らしく美しい。 小さな頃のまま、大人になっている。 「 高岡健一と申します。瑠璃がお世話になりました 」 「 私は、山上健司と申します。こんなに可愛い子と結婚できて、よかったですね 」 僕は、涙をこらえた。 本当は、瑠璃ちゃんと結婚したかったのだ。 瑠璃ちゃんのことは、これから書いていこうと思う。
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