僕の小さな恋人

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退院の日が来た。いろいろな検査を受けて、めまいも無くなった。 棟梁が、車で迎えに来てくださった。 瑠璃ちゃんと、母も一緒に来てくれた。 「 退院おめでとうございます。あっしは、ガスの元栓を閉めることしか、できやせんでした。流石は、健司さんですね! 」 「 ありがとうございます 」 「 健司お兄ちゃん、もう大丈夫? 」 「 あぁ。大丈夫だよ。お婆さまは? 」 お婆さまは、僕より早く退院された。 「 お婆さまは、やっと歩けるようになりやした 」 「 よかった。よかったです 」 僕は、嬉しかった。ただ、大学で空手の稽古は、またできない。 「 一週間、自宅療養ですよ。分かりましたね。薬をきちんと飲んで下さい 」 ドクターは、そう仰った。 「 お兄ちゃん、また、お腹まくらしてあげるね 」 瑠璃ちゃんは、そう言って笑った。 母は、泣きそうになるのを我慢している。なにも言わなかった。 棟梁の運転する、プリウスに乗って、自宅に戻った。 すぐ近くなのに、なんだか懐かしかった。 瑠璃ちゃんと、二階の部屋で一緒に眠った。 昼寝のつもりが、朝までぐっすりと眠ってしまった。 〖 空手に、復帰できるだろうか? 〗 無茶したな! でも、僕は精一杯するべきことをしたんだ、いや、出来たんだ 。 イエス▪キリストと云う、神様のお蔭のような、気がした。
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