僕の小さな恋人

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神、ヤハウェなる、天と地を創られた神 その、ご存在が嬉しかった。 創造主がいらっしゃる。そうなると、すべてが納得できる。辻褄が合うんだ。 瑠璃ちゃんは、お婆さまのお宅で、勉強をしながら、僕のサマーセーターを、編んでいる。 がんばり屋の瑠璃ちゃん。僕は、その姿を見たとき。 試合には必ず勝つ! 闘志が湧いてきた。 そして、七月七日の僕の誕生日に、瑠璃ちゃんが、サマーセーターを渡してくれた。 「 けんじお兄ちゃん、おたんじょうび、おめでとうございます 」 花模様の、ピンクと水色の包装紙に入っている。 それは、白地に水色の糸で、僕のイニシャルが、編み込まれていた。 「 瑠璃ちゃんは、頑張ったんです。編み込みは、大人でも難しいんです。 それなのに、きちんと編み込みを、覚えたんですよ 」 僕の家に、瑠璃ちゃんは、お婆さまと一緒に来てくれた。 「 着てみなさい! 」 母が言うと、僕は二階の部屋で、セーターを着てみた。 水色のイニシャルは、自慢できる。 下に降りた。 「 わ~すてき~」 「 サイズが、ちょうどいいね~ 」 そう言って、母は涙ぐんだ、 「 健司さん、素敵ですよ。色白のお肌によくお似合いです 」 「 僕、これを合宿に持って行きます。みんなに、見せびらかします。お婆さま、瑠璃ちゃん、ありがとうございます 」 そして、七月二十日になった。 合宿が始まった。 瑠璃ちゃんが編んだセーターを、トランクの中に入れた。 瑠璃ちゃん、ありがとう。誕生日の日。 瑠璃ちゃん、ありがとう、と、さえ言えないほど、嬉しかったのだ。 本当は、瑠璃ちゃんを抱きしめて、言いたかった。
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