あなたの記憶

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 どこにでもある。ごく普通の、ごく一般的な、アパートの一室。  足を踏み入れた瞬間、あなたとの記憶が目に浮かんできた。そして、それは、そこから塩水を流させる。  何度も訪れたはずなのに、まるで異世界にでも紛れ込んだみたいだ。  つい先日、訪ねた時と大して変化していないはずなのに、同じ場所だと思えなかった。  人気(ひとけ)が無くて、(いや)にひんやりとしていた。  これを現実と受け入れたくなかった。
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