あなたの記憶

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 それは、あまりに突然で、衝撃的な知らせだった。  その知らせを受けた時、全身の感覚が消えた。  目の前から光が消えて、暗闇に閉じ込められた。全身から力が抜けて、立っているのか座っているのか、倒れてしまったのかも分からない。  音がしていてもそれを認識することは出来なかった。その後の説明を聞くのを拒絶するかのように、聞こえなくなった。  それでも、だんだんと受け入れていった。  はじめは、夢でも見ているんじゃないかと思っていた。それも、悪夢を見ているんだと思った。  これが夢であったなら、どんなに良かったのだろう。  今までとの落差が、よりその衝撃を強めていた。  しかし、私は、幸せの絶頂にいた訳じゃない。普通に生きているだけで、何気ない、ごく普通の、日常を送っていた。  その些細な幸せがなくなっただけ、それだけでもかなりの落差があった。それだけ、衝撃的な話だった。  私の生活も気持ちも、その知らせを受ける前と後では、全く違う。  私の世界が、反転した。その強い強い衝撃が反転させた。  それほど、あなたの存在は大きかった。あなただけは、失いたくなかった。  もっと、あなたと一緒にいたかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加