0人が本棚に入れています
本棚に追加
大判のアルバムを、見ているとさっきまであったはずの悲しみが和らいだ。
あなたと過ごした楽しい記憶が、蘇ってくる。
笑顔で写るあなたといつもと変わらないあなたの言葉。あなたの記憶が集められたこれは、あなたの分身のようにも思えてくる。
それを見終えると、虚無感に襲われた。後悔に襲われた。
いくら悔やんだとしても、時間は巻き戻せない。あなたを助けることは出来ない。
私が知っているあなたは、笑顔を絶やさない明るい人だった。いつだって前向きで、落ち込んでいるところも、悩んでいるところも見たことはなかった。あなたは、いつだって元気で活発な人だった。身体も丈夫な方だった。
書かれている言葉は、最後まで明るかった。写真に写るあなたは、ずっと笑っていた。
それでも、たった一つの小さな楕円形のシミ。それに、私の知らないあなたが現れていた。
あなたに「写真を集めている」と言われた時に、理由をたずねればよかった。
あの時は、なにも考えずにデータを送ってしまった。
もし、あのときあなたの話を聞いていたら、ここにあなたはいたんだろうか。
もうあなたはいなくて、手紙も日記も残っていない。
あなたをいくら集めても、その答えは、分からなかった。
最初のコメントを投稿しよう!