第一話

10/10
前へ
/50ページ
次へ
――この子は今の状況、どう思っているのかしら……。 「川島。被害者の部屋にあったノートパソコンの分析はまだ終わってないのか?」 「まだだと思いますけど……」 「もしかしたら、その中で動機が見つかるかもな」  被害者の大迫和馬は、例の写真を投稿した高校生を「特定」した人物なのではないか。比嘉はそう読んでいた。  しかし、ノートパソコンの分析の結果、それを示す明確な証拠は見つからなかった。二年前に購入していた大迫のパソコンの内部に、五年前のデータが残っていないのも当然だ。それでも、それ以外の迷惑だと言われた投稿画像の特定を試み、また、その情報交換をしている掲示板へ頻繁にアクセスしている痕跡が見つかった。  更に事件発覚から一週間後、任意で提出された伊藤涼香のDNAサンプルと、事件現場に残されていた歯ブラシのDNAが一致し、伊藤涼香に対する逮捕状と、家宅捜索令状が発行された。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加