第二話

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「それは努力させてもらいますよ。……どうしても直接会うのは気が引けるのなら、それでも構いません。もう少しこのまま話を聞かせて下さい」  比嘉は向かいの長机で受話器を握る川島をちらりと見て、ゆっくりと言葉を選びながら話した。 「伊藤さんの部屋の前で、不審な人物を見た、正確な日にちと、時刻は分かりますか?」 「えっと、えっと……それは……」 「はっきりとは憶えてらっしゃらないのですね?」 「あ、はい……」 「大丈夫ですよ。それでは、その人物の特徴とか、憶えていらっしゃいますか? 例えば身長とか、体型、髪型なんか」 「し、身長は僕と同じ位で、体型は、僕よりちょっと太ってて……」 「鈴木さんの身長と体重は、どの位なのでしょう?」 「それは……えっと、個人情報というか……」  比嘉は不明瞭な鈴木太郎を名乗る男の発言にも苛立つことなく、淡々と話を聞いていた。その比嘉に向けて、川島が頷いて合図を送った。比嘉もそれを見て頷くと、川島は声には出さず「カクホ」と大きな口の動きで比嘉に伝えた。  今度は比嘉がそれに対して首を横に振った後に「ツイビ」と口の動きで返し、男との通話に戻った。
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