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「鈴木さん、他に何か気付いたことはありませんか?」
比嘉の問いに、鈴木から予想外の答えが返ってきた。
「特徴とかじゃないですけど、ぼ、僕、その人の後を尾行しました」
思わぬ展開に、比嘉と川島は目を合わせた。
「そのおじさんは、あの殺された人が働いていた工場に入って行きました」
それを聞いた比嘉は受話器を上げて電話のスピーカーを解除した。
「川島、やっぱり確保……いや、保護だ」
「了解っ!」
川島は鉄道警察隊に繋いでいたままの電話で、情報提供者を保護するよう伝えた。
「鈴木さん。尾行はちょっと感心しませんね」
「す、すみません」
「犯人があなたに気付いているかもしれない。あなたの身に危険が及ばないよう、保護させて下さい」
「ぼ、僕は大丈夫です。少し離れた所に逃げます」
「そうして頂いてもいいのですが、鈴木さんはとても重要な証人でもありますので、私共を信頼しては頂けませんか? 後ろに鉄道警察隊の方がいると思います。とりあえず、彼らに従って……」
通話が切れ、比嘉は川島の様子を伺った。鉄道警察隊と話す川島の言葉から、現地の慌ただしさが窺えた。やがて受話器を置いた川島が盛大に溜息を吐いた。
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