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「鉄警さんの姿を見たとたん逃げ出したそうです。一人手を噛まれたみたいですね。緊急配備を敷きますか?」
「尾行は感心しないと言ったのがまずかったかな。まあいい。鈴木太郎の正体は何となく想像が付く。とりあえず工場の従業員の顔写真は揃えておこう。鈴木君が見つかれば確認してもらわなければならない」
「しかし、おじさん……ですか。実際に大迫の部屋に行って大迫を殺害したのは、どう考えても女ですよね」
川島はそう言ってスマートフォンで大迫がアップロードした動画を再度眺めた。
「これを犯人が撮ってるっていうのに、もどかしいですね」
川島のスマートフォンから、この後毒を盛られて殺されるとも知らず、実に楽しそうにはしゃぐ大迫の姿と声が流れる。
「今から、涼香ちゃんと宅飲みだぜえ! 涼香ちゃんは顔出しNGって言うから、スマホ持ってもらってまーす。んじゃ、カンパーイ!」
「しかし、やっぱりスマホで撮られた映像はどことなく味気ないですね。なんだか平べったくて臨場感も無いですし、監視カメラの映像みたいですよ」
川島の感想に比嘉は苦笑した。
「なんだ? 自分はもっと立派な映像を撮るとでも言いそうだな」
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