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「伊藤涼香の様子はどうです? ゲロしましたか?」
「いや。私の心象ではシロだな。今の報告を聞いて、その印象は更に強くなった」
比嘉はそう言うと立ち上がり、デスクに置いていたスマートフォンを手に取った。
「これから私は伊藤涼香に話を聞いてくる。他のメンバーに招集をかけておいてくれ」
「はい、了解しました」
通話を終えて取調室へと向かう比嘉の後ろを、川島は何度となく頷きながら歩いた。
「話が繋がりそうですね。鈴木太郎って男が言っていた『おじさん』が彼女に成りすまして中古のスマホを使い、彼女宅のネットワークからアクセスした」
下り階段の手すりに手を掛けた比嘉が、川島に振り返った。
「そうかもしれない。それを確認するのも大事だが、川島。今はとりあえず、通話データのクライアントが入ったパソコンを持って来てくれ。伊藤涼香に鈴木太郎の声を聴いてもらう」
警察署への通話は全て通話記録サーバーに一括保存されていて、そのデータは署内ネットワークに繋がったパソコンから自由に確認できる。
「はい、すぐに持って参ります」
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