第二話

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 暫く考えていた伊藤涼香が何かを思い出したらしく、目を見開いて比嘉を見ると、自分の太もも辺りに両手をやってすぐに顔をしかめた。 「あの、私の携帯、見せてもらえませんか?」  比嘉は伊藤涼香の願いに、所轄の刑事に視線を向けて頷いた。それを受けて所轄の刑事は取調室を出て証拠保管庫へと向かった。 「今持って来てもらいます。何か心当たりがありましたか?」 「はい。七月の……何日だったかは覚えていないんですけど、パソコンの方がインターネットに繋がらなくなってしまって。ツイッターで詳しい人に聞いたんです」 「その人にパスワードを教えた、と?」 「いいえ。無線ルーターの型番が知りたいから、写真に撮ってDMで送ってくれって。その時に、そのシールの部分を写して送りました。でも結局やり取りをしている間に、気付いたら繋がるようになってて……」  それ以上は伊藤涼香も詳しく覚えておらず、スマートフォンを見ないとやり取りをした相手も分からないと言って、押収されたスマートフォンが届くのを待った。
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