第二話

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「伊藤さん。もうひとつお伺いします。これから電話の声を聞いて頂きますが、聞き覚えのある声かもしれません。もし声の主が分かったら教えて下さい」 「はい」  伊藤涼香が頷いたのを確認して、川島が通話データを再生した。 「はい、特別捜査本部」 「もしもし? 情報提供ですか?」 「伊藤さんは……犯人じゃないと思います」  自分の名前が出て、伊藤涼香が肩を固くした。 「失礼ですが、先にお名前とご連絡先をお教え願いますか? 外部に漏れることはございませんので」 「電話は、あの、持っていません。ぼ、僕の名前は鈴木太郎です」  その声を聴いて、伊藤涼香が反応を示した。 「今の喋り方……。多分神崎(かんざき)君です。神崎賢人(けんと)君」 「高校の時同級生だった神崎君だね? 五年前にイジメられて、あなたに……。それが神崎君?」  伊藤涼香は、その質問に頷いたまま俯いた。 「伊藤さん、ありがとうございました。証拠品はもう暫くお預かりしますが、あなたは家に帰られるようにしましょう」  最後にもう一度比嘉が伊藤涼香に対して頭を下げると、彼女も比嘉に向かって小さく頭を下げた。
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