第二話

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 パーティションの横をすり抜け、ドアが開いたままの取調室を出て、十分に距離が離れると川島が口を開いた。 「伊藤涼香から、何か供述は取れました?」 「ああ。やはりルーターのパスワードを知られていた。本人がそれと気付かない方法で」 「その相手、鈴木……じゃない、神崎の証言した不審人物と同じ人間ですよね?」 「…………」  川島に、比嘉は答えもせず、歩みも止めない。 「すみません。それを調べるんですよね」 「分かっているなら聞くな。とにかく話は後だ。脇坂達も戻ってくる。全員が揃ってからで良いだろう」  捜査本部で他のメンバーが揃うまでの間、比嘉は繰り返し大迫和馬がアップロードした動画を見ていた。
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