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第三話
「その男が伊藤宅のWi‐Fiに『タダ乗り』し、ゴミ袋か何かから歯ブラシを手に入れた……ってことですね。女の方は全く手掛かりがありませんけど、垂れ込んできた神崎に面通しさせれば、男の方は割れそうじゃないですか」
まずは神崎を捜そう、という方向で意見が纏まりつつある中、比嘉は釈然としない表情をしていた。
「警部、神崎捜しを優先する他に、不審人物の目撃証言が得られないか伊藤涼香宅の周辺で聞き込み。更に、大迫和馬の職場従業員へ再度事情聴取。こんな感じで良いでしょうか?」
川島が意見を纏めて比嘉に尋ねたが、比嘉の表情は変わらなかった。
「まあ、そうだな。今やれるのはその辺りか……」
歯切れの悪い比嘉に、川島は首を捻った。
「何か気になることでも?」
「川島が言った『監視カメラの映像』ってヤツだ」
大迫和馬がアップロードした動画だ。その動画を川島が「臨場感のない監視カメラの映像のようだ」と評した。
「そう思って見直すとな、確かに監視カメラの映像っぽい」
「はあ……」
褒められているのか何なのか理解できない川島は、頭を掻いている。その様子を見ることなく、比嘉は自分のスマートフォンでその動画を再生した。
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