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「ただいま」
それから三日後に自宅に戻った比嘉は、スーツのジャケットを脱いでネクタイを緩めると、リビングのソファーに身を投げた。
「あぁ、やっぱり仮眠室のベッドより、このソファーの方が気持ちいいな」
「お疲れ様。でも、またすぐ出て行くんでしょ?」
「いや、今日は家で寝る」
「あら、じゃあ事件は解決間近なのかしら? 一度逮捕した彼女は全然関係なかったの?」
妻の麻美がエプロンを着けて食事の準備を始めながら比嘉に質問を投げた。
「勘弁してくれよ記者さん。まだ捜査中。詳しくは言えないの」
比嘉はそう躱して、ソファーに乗ってきた愛犬の首元を乱暴に撫でた。
「そう言われて簡単には引き下がらないからね。新しい容疑者は誰ですか? 逮捕は近いのでしょうか?」
麻美がおどけながら聞いたが、比嘉は手を振って「駄目だ駄目だ」と繰り返した。
「まあねぇ、私も今回の事件はそう簡単に解決しないと思ってたけど。予想したよりは、割と早く解決しそうね。担当の刑事さんが優秀なのね、きっと」
「言ってくれるねぇ」
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