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比嘉が合流してすぐに、川島は例の如く独り言のように考えを喋り続けている。
「伯父の話を聞こう。まだ眠ってはいないだろう」
伯父の家は電気が点いていて、ガレージのシャッターは上げられたままだ。比嘉が川島の喋りを無視して玄関のチャイムを押すと、返答はすぐにあった。
「はい」
「警視庁の比嘉と申します。神崎賢人君のことで少し前に電話も差し上げていたと思いますが……」
「少々お待ちください」
開いた玄関の先に現れた神崎の伯父は、比嘉の目には意外な程に落ち着いて見えた。比嘉と川島の二人がバッジホルダーを開いて見せた時もそれは同様だった。
「賢人がまた何かしましたか?」
「また?」
伯父の言葉に、比嘉は聞き返した。
「ええ。賢人は、ほら、アレでしょ? だからよく人様に迷惑を掛けるんですよ」
比嘉は、甥のことを「アレ」と表現した伯父のその言い様に悲しいものを感じたが、「そうではありません」と今回の経緯を説明した。
「そういうわけで、万が一のことがあってはいけないと。私共が出遅れたばっかりにご心配をお掛けしてしまって申し訳ございません」
そう言って深々と頭を下げる比嘉と川島に、伯父は恐縮した。
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