第三話

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「はい。こちらに来てから私が持たせましたから。でも、最初にそちらから電話があった後、賢人に掛けてみたら電源を切っているようで繋がりませんでした」  伯父はそう言って電話番号を書いたメモを比嘉に渡した。最初に伯父宅に電話をしてから一時間近くが過ぎている。比嘉はその番号にダイヤルしてみたが、やはり繋がらなかった。 「駄目ですね。繋がりません。賢人君はこの家の車を借りて出掛けたのですか?」  比嘉が足元のガレージを指して尋ねると、伯父は頷いた。 「ええ、そうです。ナンバーも伝えておいた方が良いですよね」 「はい、お願いします」  伯父から伝えられた車種、年式、色、ナンバーを川島がメモしてすぐに車へ戻って無線で知らせた。  その様子を玄関口で見ていた比嘉が、神崎賢人の伯父に改めて頭を下げた。 「甥御さんに何かあったら私共の責任です。何か気付いたことがありましたら、何でも仰って下さい」 「そんな。これまで散々迷惑を掛けてきましたから……。本当に。はい……」  やはり恐縮する伯父の背後から、電子音のメロディーが流れてきた。 「ちょっと待って下さい。賢人からかもしれません」
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