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どうやら伯父の携帯が鳴っているようで、伯父は家の奥へと入っていった。
やがて少し大きな声の後、伯父が慌てて携帯電話を持って玄関へと戻ってきた。
「すみません、賢人が……殺されるって」
差し出された携帯電話を、比嘉がひったくる様に受け取ると、耳に強く押し当てた。
「神崎君、聞こえますか? 以前お話しした警視庁の比嘉です。神崎君?」
「……刑事さん。ぼ、僕、怖いです」
どこかに身を潜めているのか、神崎は声と呼吸を押し殺して話していた。
「神崎君、そこがどこか分かるかい?」
比嘉は神崎を落ち着かせるようにゆっくりと話した。
「ぼ、僕は、柏の葉公園に……」
「公園のどこかな? 何か目印になる物は見えるかい?」
「池にボートが、う、浮かんで……」
「分かった。池だね」
比嘉は一旦携帯電話を耳から外した。
「すみません、このお電話、暫くお借りしてもよろしいですか?」
「もちろんです。お願いします」
伯父の了承を得た比嘉は、ポケットから自分の車のキーを出し、神崎の伯父に渡した。
「ご自宅の前に停めてある私の車のキーです。もし邪魔になったら動かして下さい」
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