第三話

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 それだけ早口で言うと、比嘉は返事を待たずに、無線での交信を続ける川島が乗ってきた覆面の助手席に座った。 「川島、柏の葉公園に緊急走行」 「え? あ、はい!」  サイレンを鳴らし走る車内で、比嘉は再び携帯電話を耳に当てた。 「神崎君、君を殺そうとしているのは谷本だね?」  その言葉に驚いた川島が比嘉の方を見るのを、比嘉は右手で前を示して運転に集中するよう合図した。 「た、多分そうです」 「谷本から電話でそこに呼び出されたんだね?」 「あっ、あっ……。ナ、ナイフを持って……」 「神崎君? 大丈夫かい? 電話は切らないで。神崎君?」  緊張した様子の神崎に、比嘉も小声にして無事を確認した。だが、間もなく通話は途絶えてしまった。 「警部、神崎君は?」 「危ないのは間違いない。急げ」 「はい!」  比嘉が無線で応援を呼んだ三十分後には、無数の赤色灯が深夜の柏の葉公園周辺の樹々の葉を赤く染めた。
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