第四話

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第四話

 夜間で閉鎖されていた公園の駐車場の前に、神崎の伯父の車と、谷本の車が停まっていた。その周囲を囲むようにパトカーが配置され、公園の全方角から捜査員が一斉にボートのある池へと向けて包囲を狭めていった。比嘉は祈る気持ちで一杯だった。  手に握り締めたままの携帯電話はあれから鳴っていない。神崎が身を潜めていることを考えると、比嘉の方から発信するわけにもいかなかった。  忍び足で池へ向けて歩く比嘉の耳に、近くを歩いていた制服警官の無線を通して声が聴こえた。 「マルタイ発見! 保護しました!」  その無線の声の後、方々から「マルタイ保護」という言葉が響いた。  それまで潜めていた足の動きを速め、比嘉は池の近くで懐中電灯の光が集まる場所を目指して駆けた。途中で新たな無線が、胸にナイフが刺さった状態の谷本を池から引き揚げたと告げた。  やがて、毛布にくるまれて懐中電灯に照らされる神崎の姿を見つけると、比嘉の心の奥で警鐘が鳴った。  ――何かが違う。  何に対しての違和感だったのか、比嘉は足を止めて考えた。そして、自分が握りしめたままの携帯電話に視線を落とし、その違和感の正体に気が付いた。  神崎もまた、携帯電話を握りしめていたのだ。  ――証拠。証拠がどこかにある筈だ。  比嘉は懐中電灯に照らされる神崎と遠く対峙したまま静止していると、そこに川島が駆け寄ってきた。
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