第四話

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 谷本殺害の計画性についての証拠も十分すぎる程揃った。谷本の携帯電話へ着信のあった時刻に公衆電話で電話をかける神崎の映像、谷本が死亡時に身に付けていた腕時計を神崎が購入する映像、そしてやはり決定的だったのは、実際の殺害時刻で止まった懐中時計と、殺害後に発信した伯父への電話だ。 比嘉は検察に送られる調書へ最後に目を通していた。  神崎は『涼香』になって迫田をその気にさせ、事件当日に泊りに行く約束をした。しかし、当日の昼に仕事で遅くなると言って一旦はキャンセルする。だが、周囲に自慢していた迫田を気遣うふりをして毒入りのワインを留守中の迫田の部屋の前に置き、『涼香』が居るように見せかけた動画を公開するアイディアを伝えた。  その時に、遅くなるが必ず行くとメッセージを送り、鍵を開けたままにさせていた。そして、神崎の思惑通りに迫田はそれらを実行した。
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