85人が本棚に入れています
本棚に追加
「とりあえず俺達も脇坂と一緒に話を聞こう」
比嘉と川島が再び黄色いテープを潜って部屋の外に出ると、比嘉は脇坂の姿を探した。だが、その姿は見当たらない。比嘉は携帯を取り出して、脇坂の番号を呼び出した。
「脇坂、今どこにいる?」
「暑いんでPCの中です」
比嘉がアパートの駐車場を見下ろすと、数多く詰めかけたパトカーの一台から脇坂が降りて手を挙げていた。
駐車場に降りた比嘉は、エアコンの効いたパトカーの助手席に、身体を横向きにして座り、後部座席に座っていた脇坂と共に通報者の話を聞いた。川島も運転席に座って会話の内容をメモしている。
死亡したのは、大迫和馬三十四歳独身。都内の、小さな金属加工の町工場に勤務していた。社長の谷本の話によると、真面目な勤務態度と言うには少し気が引けたようだが、会社ではトラブルもない平凡な人物だったようだ。その大迫が、盆休みが明けて二日無断欠勤が続いた為、谷本が部屋を訪ねた。玄関のドアには鍵が掛けられていなかったらしい。
「盆休みは何日から何日まで?」
「十二日から二十日までです。十一日には通常通り出勤していました」
最初のコメントを投稿しよう!