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――土曜日A.M.8:00@自宅
私の部屋には南向きで大きめの窓がある。
そのままベランダにも出られる素敵な窓だ。
朝はその窓から差し込む太陽の光で目覚め、清々しい朝を迎えるはずだった。
………はずなのに、ベットの下を見れば、ソファの手前に昨日と同じ格好で男が転がっていた。
寝すぎじゃない!?何なのこいつ!!ウザい!!
一気にテンションが下がる。
折角の休日になんてこと…!!
とりあえず、起きようか…と、気を取り直して立ち上がり、顔を洗い、肩より長くなった髪を束ねると朝食を作り始めた。
繰り返すけれど、私は料理が得意ではない。
でも、練習しようと思っていたのは本当だ。
メニューは味噌汁、卵焼き、蒲鉾、麦ご飯。
簡単だけど、一人暮らし生活二週間目にしては上出来だと思う。
朝食が完成した頃、一体、この男はいつ起きるんだろうと疑問に思ったが、あえて考えないようにし、視界にも入れないようにしながらご飯を頬張り、味噌汁を流し込んだ。
やっぱりおいしくないんだよねー。
とびきり不味いわけでもないんだけど…。
なんでなんだろう?何がいけないの??
高田君にもあんなこと言っちゃったし、本気で練習しないとな…。
若干憂鬱な気持ちになり、自然と目に入ったソファの手前のそれ。
―――佐野圭。
………三年ぶり、なんだよね。
背、伸びてる。
顔も相変わらず、かっこいい。私は好きじゃないけど。客観的にね。
そういえば、中学のときもすごくモテてたよね。私は全然好きじゃないけどね。
髪を明るめの茶色に染め、シックな服装に身を包んでいるこの男は、子供の頃の華奢でやんちゃだったイメージもそのままだったが、少しは男らしくなった気がしないでもない。
…………イヤ、気のせいだな。
というか、そこまで昔の記憶があるわけでもないし。
どうでもいいことを考えるのが嫌になり、気持ちを切り替えようと立ち上がった。
高田君と会うのは午後からだからまだ時間があるな…と思い、食器の片付けを始めた頃、圭が起きたようだ。
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